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デジタルマーケティングのROI|計算方法や目安を理解する|Life Marlety

作成者: lifemarkety|25/01/02 11:28

 

 

営業プロセスが長期化しがちなBtoBマーケティングでは、短期間でのROIは見えにくく、「本当に利益につながっているのか判断できない」という課題に直面することが少なくありません。本記事では、ROIをシンプルに定義し、具体的な計算式と事例を通じて、どのように投資対効果を把握すればいいのか解説します。

こんな方にお勧めです

  • 経営層や社内ステークホルダーに「マーケティングの成果」を数字で示す必要がある方
  • インバウンド施策で獲得したリードが、実際にどのくらい利益につながっているか見極めたい方

ROI以外の数字について、下記にもまとめてあります。参考になれば幸いです。
【関連記事】KPI設計やデジタルマーケティング施策の効果測定で知っておきたい数字

ROIの算出方法

ROIの計算式は、下記のとおりです

ROI = (純利益 ー投資コスト) ÷ 投資コスト

純利益は、インバウンドから獲得した顧客による売上から、商品原価・サービス提供コストなどを差し引いた金額を指します。
投資コストは、インバウンドマーケティング全体にかかったコストを指します。

100%で回収ラインとなります。
例えば、ROIが150%とすると、投資した金額のやく1.5倍のリターンがあった、ということになります。

ROIの目安

BtoBマーケティングのROI(投資対効果)は、業界や商材の単価・販売プロセスの長さなどによって大きく変動するため、標準的な指標はありませんが、下記の幅で取り沙汰されることが多いです。

ROIが2:1(200%)程度

「出したコストの2倍程度のリターンを得る」という意味で、BtoBマーケティングの最低ライン。
ひとまず成功していると判断します。
中小企業やスタートアップなどの目標水準となることが多いです。

ROIが3:1〜5:1(300%〜500%)程度

多くの企業が目標とするまずまずの水準です。3:1を超えると、マーケティング投資がビジネスに十分寄与していると見なされます。
この水準が継続されれば、さらなる投資判断をする目安の数字です。

ROIが10:1(1000%)以上

業界や施策によってはこれだけ高い数値を出すこともありますが、常に狙えるほど簡単ではなく、ハイパフォーマンス施策がはまった場合などに出るケースです。
特にWebサービスやデジタル系ベンチャーなどで、プロダクトのスケーラビリティが高い場合や、特定の市場や顧客層に強いブランド力を持っている場合に見られる数字です。

ROIの計算に利用する数字の定義

純利益・投資コスト、と言っても企業や部署によって、考え方が違うため、予め定義をしておくことが重要です。

投資コスト

投資コストとは、マーケティング全体にかかったコストと定義します。

  • コンテンツ制作コスト
  • マーケティングツールやプラットフォームの利用料
  • 広告費
  • 人件費
  • その他、コンサルティング費用、SEO対策費用、広告運用費用、イベント参加費など。

純利益

純利益とは、売上から原価を引いた金額になります。

原価

原価は、商品・サービスの原価(製品を製造・調達するためのコスト、またはサービス提供に直接紐づく費用)と、直接コスト(契約までに必要になるコスト、問い合わせ対応やサンプル提供などの費用)の合計です。

売上

売上は、マーケティング施策で獲得できた売上の合計となります。
新規の売上と、既存顧客のアップセル/クロスセルが挙げられます。 

ROIの計算例

ROIを計算するための数字と明細

売上

 新規リードからの成約・売上:8,000,000円
追加購入・アップセルからの売上:2,000,000円

原価

商品・サービスの原価:3,000,000円
新規顧客や既存顧客からの問い合わせ対応に要する追加コスト:500,000円

投資コスト

コンテンツ制作費用:500,000円
MAツール利用料:300,000円
SNS管理ツール利用料:120,000円
広告費:800,000円
社内リソース人件費:1,000,000円

ROIの計算

売上10,000,000円、原価 3,500,000円の場合、純利益は、売上ー原価で、6,500,000円となります。
投資コスト:2,720,000円なので、計算式・結果は下記のとおり。

ROI=(6,500,000ー2,720,000)/2,720,000×100=139%(投資した金額の約1.39倍のリターンがあった)

ROIを考えるうえでのポイント

ビジネスモデル・販売単価・顧客生涯価値(LTV)

高額な商品・サービスを扱うBtoBの場合、1件の成約が大きな利益につながるため、ROIが高くなりやすい傾向があります。
逆に、比較的低単価・大量販売モデルであればROIが低く見える場合もあり、単純比較は難しいです。

リードタイムの長さ

BtoBでは、問い合わせから成約まで数ヶ月〜1年以上かかるケースも珍しくありません。
短期的な期間でROIを算出すると、正しい数値を捉えにくいので注意が必要です。

ROIを低下させないために
インバウンドでリードを獲得しても、営業チームがフォローし切れずに成約が伸び悩むとROIが低下します。マーケティングと営業の連携を最適化してこそ、高いROIが達成できます。
【関連記事】KPIツリー設計ガイド|営業とマーケは共通で設計する

まとめ

検索すると、「マーケティングROI」という別のROIが存在するかのような記事を見かけますが、単純に考えたいため、あえて言及しませんでした。

これからROIを算出する方は、この記事を参考に定義づけをすれば、シンプルで管理も楽だと思います。
参考になれば幸いです。

補足
BtoBマーケティングの現場は、マーケティング活動というより、まだまだ環境構築に追われている段階なので、データドリブンでグロースしている事例は非常に少ないと思っています。
少しでも早く、数字を見ることを意識すれば、競合優位に立てるのではないかと・・・。
【関連記事】KPIが設定されていない・KPIツリーがない理由