今回は、このような課題にお答えします。
このように解決します。
よく混同される3つの指標を、まず整理しておきます。
KPIを達成すれば、KGIが達成されるという関係性で設計します。KGIが「売上目標」ならば、KPIは「商談化率」や「MQL数」といった途中経過の数値になります。
KSFは立場によって捉え方が違うことが多く、認識を合わせておく作業がことのほか重要です。経営層は「人数さえ揃えばなんとかなる」と考えがちですが、現場のKSFが「専門スキルを持った人材の確保と育成」にある場合、この溝を放置したままKPIだけ設定しても、なかなか機能しません。経営層と現場のギャップを埋めるためにも、KSFを共有・管理しておく意味があります。
BtoB領域は成果が出るまでに時間がかかります。リード獲得から商談・成約まで数か月かかることも珍しくありません。だからこそ、途中経過を測る中間指標が必要になります。
KPIを設定するメリットを整理するとこうなります。
逆に言うと、KPIがない状態では「なんとなく施策を続けている」「成果が出ているのかどうかよくわからない」という状況に陥りやすいです。意外と、KPIをきちんと管理している現場は少ない印象があります。むしろ、ほぼない現場のほうが多いかもしれません。
KPIが設定されない理由の整理はこちら
KPIが設定されていない・KPIツリーがない原因とは?失敗パターンと対策
KPIツリーは、KGIを頂点として、それを達成するための要素を階層的にブレイクダウンして可視化する手法です。どの施策がどの目標に影響を与えるかをチーム全体で一目で把握できます。
それぞれの部署・担当者が「自分は何をすべきか」を自分で確認できる状態になるのが、ツリー化の一番の効果かもしれません。KPIツリーを作る前に、KGI→KSF→KPIの流れで順番に考えていくのが、遠回りに見えて実は近道です。
OKR(Objectives and Key Results)と比較されることもあります。KGIやKPIが数値目標に重点を置くのに対し、OKRは挑戦的なゴール設定と定性的な評価も重視します。どちらも目標と指標を一貫して管理する手法という点では共通しています。
KPIを正しく設計することで、組織の行動を目標達成に向けて最適化できます。基本的な流れはシンプルで、KGI→KSF→KPIの順に考えていきます。
まず、企業ビジョンや経営戦略を明確化し、最終的に到達すべきゴールを定めます。「売上を上げる」といった曖昧な表現ではなく、「前年比20%増」「年間新規契約50件」のように具体的な数値で設定します。
KGIがブレると、どれだけKPIを設定しても効果的に機能しません。KGIが決まってはじめて、「そのためにどの指標を管理すればいいか」が見えてきます。
KGIを達成するために不可欠な要素を特定します。「高品質なリード獲得」「営業プロセスとの連携強化」などが代表的な例です。社内外のステークホルダーが何を求めているかを把握し、組織への影響度も分析します。
KSFを導き出すために使われる分析フレームワークはこのあたりです。
KSFをブレイクダウンし、5つの要素を満たす指標を割り当てます。
KPIの数は絞り込むことが重要です。あれもこれもと増やすと、どれに注力すべきかわからなくなります。3〜5個程度が目安とされています。また、自分たちでコントロールできない指標を設定すると改善に活かしにくくなるため、自社の努力で数値を動かせる指標を選ぶのがポイントです。
KPIが決まったら、KPIツリーとして可視化します。KGIと各KPIを階層的に紐づけることで、全体像を俯瞰できます。チームや個人の目標がKGIとどのように結びついているかを図解で共有すると、組織としての一貫性が保ちやすくなります。
営業・マーケ連携の参考記事
営業とKPIを共有するとマーケティングはコストセンターから脱却できる
KPIの目安数値は、単なる参考値ではありません。目標設定の根拠として、また社内での議論を円滑に進めるためのベースラインとして機能します。根拠のある数字を持つことで、チーム全体の納得感も高まります。
BtoBマーケティングにおける一般的なCVRの目安はこのくらいです。
月間100件のリード獲得を目指すなら、流入数とCVRを掛け合わせて逆算する形で目標値を設定します。自社の業界特性やターゲットによって変動するため、あくまで出発点として使います。
獲得したリードは、温度感によって大きく3種類に分かれる傾向があります。
アーカイブを除いたリードをMQL(Marketing Qualified Lead)として定義することが多く、企業によって定義が異なる場合もあります。情報収集段階の65%は今すぐ商談にはなりませんが、新規獲得コストが不要なリサイクルリストとして循環させることで、中長期的な資産になります。
メールマーケティングでは、開封率とクリック率が代表的なKPIです。
ターゲティングや件名の工夫、コンテンツの内容によって改善できます。単純な一斉配信と、スコアリングに基づいたセグメント配信では数値が大きく変わる印象があります。
MAツール(マーケティングオートメーション)を活用すると、リードの行動データに基づくスコアリングが可能になります。メールのクリック、ウェビナー参加、資料ダウンロードなどのアクションごとに点数を設定し、一定のスコアに達したリードをMQLとして扱う運用が一般的です。
MQL(マーケティングで育成したリード)からSQL(営業が商談可能と判断したリード)への転換率は、20〜30%程度が目安とされています。
この数値が低い場合、MQLの定義がゆるすぎるか、営業とのリード評価の認識にズレがある可能性があります。定義のすり合わせが先決です。
SQLが実際に商談に至る割合が商談化率です。標準的な目安は10〜20%程度で、リードの質・営業アプローチ・提案内容など複数の要素が影響します。商談化率が低い場合は、SQLの定義の見直しか、営業アプローチのどちらに問題があるかを切り分けて考えると、改善の手が打ちやすくなります。
参考書籍
BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?
最初はストーリー仕立てで、環境が違う場合はピンとこないですが、後半はかなり現場で利用できる情報が整理されています。よくある失敗事例は、ただただ共感できます。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS)マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
第3章に掲載。情報収集段階の65%が商談に至らずとも、新規獲得コストが不要な「リサイクル」リストとして循環させることの重要性が書かれています。
BtoBマーケティングの最終目標は「商談の創出」と「売上の拡大」です。KPIはリード獲得から商談化・成約までのプロセス全体をカバーする必要があります。
両部門で共有しやすい共通指標として機能するのが、SQL数です。「営業が商談可能と判断したリード数」を共通のKPIに置くことで、マーケティング活動が営業成果に直結しているかどうかを一貫して評価できます。
獲得したリードの属性や条件を事前に合意しておくことが、思ったより重要です。「マーケが送ってくるリードは質が低い」という声が営業から出てくる場合、多くは定義のズレが原因です。
MQLとして渡す条件(職種・企業規模・行動スコア等)をあらかじめ明文化し、双方で確認しておくと、質のミスマッチを防げます。
数値だけでなく、営業現場の声を取り入れてKPIを設計することで、より実践的な運用が可能になります。「このリードは全然見込みがなかった」「こういう属性の会社からの問い合わせは温度感が高い」といった定性情報を定期的に拾い、KPIの設計や運用に反映させていく仕組みが大切です。
営業・マーケ連携の参考記事
営業とKPIを共有するとマーケティングはコストセンターから脱却できる
設定したKPIは放置せず、ダッシュボードや定例会で常に進捗を確認します。ダッシュボードに何を載せるかは、KPIツリーに沿って決めるのが整理しやすいです。チームで確認する頻度・粒度に合わせて設計すると、確認コストも下がります。
未達成のKPIがあった場合は、次の順で進めると整理しやすいです。
業務フロー自体も見直しの対象に含めるのがポイントです。KPIの数値だけ追っていると、根本の原因に気づかないことがあります。
市場環境の変化に合わせ、四半期に一度程度を目安にKPIを微調整します。KGIが変わった場合は、KSFとKPIも連動して見直すことになります。
KGIとKPIの整合性が崩れると、頑張っているのに成果につながらない状態が生まれやすくなります。定期的な振り返りと改善のサイクルを習慣にしておくと、運用が長続きします。
リード数だけを追いかけると、質の低いリストが増えます。結果として営業の負担が増え、商談化率が下がり、営業からマーケへの不信感が生まれます。KPIは質的な指標(転換率・商談化率)も同時に評価する設計にしておくことで、量と質のバランスを保ちやすくなります。
マーケと営業のKPIが連動していないと、現場の協力が得られません。「マーケはマーケのKPI」「営業は営業のKPI」という縦割りのまま運用すると、施策の成果が見えにくくなります。共通目標の設定と定期的な対話で認識を一致させることが、形骸化を防ぐ基本的な手立てです。
KPIが設定できない・機能しない原因の整理はこちら
KPIを設定したが機能しない原因とは?失敗パターンと対策
KPIの設計は、一度やれば終わりではありません。KGIとの整合性を保ちながら継続的に見直し・改善していくことが、機能するKPIの条件です。
BtoBマーケティングにおいて特に重要なのは、営業とマーケが一体となった組織運用です。SQLの定義やリードの評価基準を共有し、現場の声を定期的に反映させる仕組みをつくることが、KPIを「形の上だけの数字」にしないための鍵になります。
まずKGIを決め、KSFを洗い出し、SMARTに沿ったKPIを設定する。設計後は定期的なモニタリングとPDCAで運用する。このサイクルを回し続けることで、組織全体の連携が強まり、経営層と現場の意識のズレも少しずつ解消されていきます。