今回は、このような課題にお答えします。 そもそもKPI設定の仕方がわからない。 KPI設定をしてなかったので、ちゃんとKPI設定をしたい。 マーケティン部門にも売上目標が課せられてしまった。...
BtoBマーケティングにおけるKPI設定の目安の数字|具体的数値と算出事例を紹介
BtoBマーケティングでKPIを設定する際、目安となる数値があると、目標設定がスムーズに進みます。
本記事では、BtoBマーケティングにおけるKPIの具体的な数値や活用方法を解説します。設定作業にすぐ取りかかれるよう、シンプルで実践的な内容をまとめました。
【関連記事】BtoBマーケのKPI設計・KPIツリー総合ガイド|営業連携・運用方法まで徹底解説
BtoBマーケティングのKPI、目安はどれくらい?
KPIの目安は単なる参考値ではなく、目標設定や社内の議論を円滑にするための指標です。根拠をもって目標を設定することで、チーム全体の納得感も高まります。
営業とマーケティングで共通設計する重要性
BtoBマーケティングの最終目標は「商談の創出」や「売上の拡大」。
そのため、KPIはリード獲得から商談化、成約までのプロセス全体をカバーする必要があります。
営業部門とマーケティング部門が連携し、共通の指標を設定することで、マーケティング活動が確実に営業成果へ貢献します。
たとえば、MQL(マーケティングで獲得した見込み顧客)からSQL(営業活動に適したリード)への転換率を設定することで、施策の成果を一貫して評価できます。
営業現場のフィードバックをKPI設計に取り入れることで、より実践的で成果に直結するマーケティング活動が可能になります。
施策別の代表的なKPIと具体的な数値目安
リード獲得施策のKPI例
Webサイト訪問数・CVR(コンバージョン率)の目安
ウェブサイトから獲得する新規リード数は、デジタルマーケティング施策の基本的なKPIです。目標値は業界や施策によって異なりますが、例えば月間100件の新規リード獲得を目指す場合、流入数やCVR(コンバージョン率)をもとに達成可能な数値を設定します。
一般的なBtoBマーケティングにおけるCVRの目安は以下の通りです。
- 検索広告からのCVR:約2%
- ディスプレイ広告からのCVR:約0.5%
これらの数値を基準に、自社の業界特性やターゲットに応じたKPI設定を行うことが重要です。
ホワイトペーパー・セミナー施策のCVRと改善ポイント
ホワイトペーパーやeBookなどのコンテンツダウンロード数も重要なKPIです。CVR(コンバージョン率)を併せて測定することで、コンテンツの質や訴求力を評価できます。一般的には、LP(ランディングページ)でのCVRは2〜5%が目安とされています。
リードの内訳
獲得したリードの質を評価するためには、その内訳を把握することが重要です。一般的なリードの内訳の割合は、以下のようになります。
- 課題が顕在化している:10%
- 情報収集段階:65%
- アーカイブ(学生・個人など):25%
このうち、アーカイブを除いたリードをMQL(Marketing Qualified Lead)として定義することが多く、企業によってはMQLの定義が異なる場合もあります。MQLは、営業活動に進める価値があると判断されたリードであり、KPI設計において重要な指標の一つとなります。
リードナーチャリング施策のKPI例
メール開封率・クリック率の目安
メールマーケティングでは、開封率とクリック率が代表的なKPIです。
開封率は15〜25%、クリック率は2〜5%が一般的な目安です。
ターゲティングや件名、コンテンツの工夫によって数値を改善することが可能です。
MAツール活用によるスコアリング基準の設定
MAツール(マーケティングオートメーション)を活用することで、リードの行動データに基づくスコアリングが可能です。スコアリング基準としては、メールのクリック、ウェビナー参加、資料ダウンロードなどのアクションごとに点数を設定し、一定のスコアに達したリードをMQLとして扱います。
商談創出施策のKPI例
MQLからSQLへの転換率目安
MQLは、マーケティング活動を通じて獲得したリードのうち、営業活動に適した状態に育成されたリードを指します。このMQLからSQL(営業が商談可能と判断したリード)への転換率は20〜30%程度が一般的な目安ですが、リードの質や営業チームとの連携状況によって変動します。
商談化率の標準値と分析のポイント
商談化率は、SQLが実際に商談に至る割合を示します。
標準的な商談化率は10〜20%程度とされ、リードの質、営業アプローチ、提案内容など複数の要素が影響します。定期的な分析と改善が必要です。
KPI設計の進め方|営業部門と連携した実行計画の立て方
全体目標(KGI)から逆算するフレームワーク
KPIを設計する際は、まずKGI(最終目標)を設定し、そこから逆算して必要なKPIを決定するフレームワークを活用します。
これにより、施策ごとの目標がKGIと連動し、組織全体で一貫性のあるマーケティング活動が可能になります。
関連記事:BtoBマーケのKPI設計・KPIツリー総合ガイド|営業連携・運用方法まで徹底解説
営業・マーケティングの共通指標をどう設定するか
営業とマーケティングの連携を強化するためには、共通の指標を設定することが重要です。
代表的な指標としては、SQL(Sales Qualified Lead)数が挙げられます。
これは、営業活動に適したリード数を示し、両部門で成果を共有しやすくする重要なKPIです。
PDCAサイクルでKPIを継続的に最適化する方法
KPIは一度設定したら終わりではなく、定期的な見直しと最適化が求められます。
PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回すことで、常に施策の効果を最大化することが可能です。
まとめ
失敗しやすいKPI設計の落とし穴と対策
KPI設計でよくある失敗は、「数値だけを追いすぎて施策の本質を見失うこと」です。
たとえば、単純にリード数だけを増やすことに注力すると、質の低いリードが増えてしまう可能性があります。KPIは質と量のバランスを考慮して設計することが重要です。
関連記事:KPIがない・KPIツリーが機能しない原因とは?失敗パターンと対策
参考書籍
BtoBマーケティングの定石 なぜ営業とマーケは衝突するのか?
最初はストーリー仕立てで、環境が違う場合はピンとこないですが、後半はかなり現場で利用できる情報が整理されています。数字もさることながら、よくある失敗事例は、ただただ共感できます。
THE MODEL(MarkeZine BOOKS) マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス
第3章に掲載。新規リードがいつか頭打ちになる事実を踏まえ、情報収集段階の65%が商談にいたらずとも、新規獲得コストが不要な「リサイクル」リストとして、循環させることが重要だと書かれています。
この記事を書いた人[ABOUT]
WEBマスターやデジタルマーケティング業務で20年以上の経験。インバウンドマーケティングの仕組み構築と運用・グロースの責任者として、中小企業を中心に業務効率化をしてきました。
現在は、大手広告代理店グループで同様の任務を担っています。