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KPI設計に踏み切るための完全ガイド|設計・運用と失敗のポイント解説|LifeMarkety

作成者: lifemarkety|25/01/11 4:40

 

 

KPI設計について、まとめてみました。意外と、管理されている現場は少ないと感じています。
むしろ、ほぼ無いのではと思うくらいです。
なぜ無いのか?については、KPIが設定されていない・KPIツリーがない理由をご覧ください。

こんな時にお勧めです

  • セールスマーケの連携がうまくいっていないため、根幹から見直す必要がある
  • これからKPIを設計する、KPIの運用がうまくいっていない

KPIとは?基本概念と目的を理解する

KPIとは、目標を達成するための指標で、ゴールであるKGIを達成するための指標になります。
目標を達成するための要因をKFSといいます。

  • KPI Key Performance Indicator 重要業績評価指標
  • KGI Key Goal Indicator 経営目標達成指標
  • KFS Key Factor for Success 重要成功要因

KPIとは

KPIは、組織の目標達成度やプロセスの有効性を測るための指標です。
定量化された数値を設定することで、担当者やチーム全体が具体的なゴールを意識しやすくなり、効果的な意思決定や行動が可能となります。

KGIとは?

KGI(Key Goal Indicator)は、ビジネスやプロジェクトにおける最終的な目標を定量的に示す指標です。「年間売上○億円」「契約件数○件」などが典型的な例になります。KGIを設定することで組織全体の方向性を定め、達成すべき最終ゴールを共有できます。


KGIとKPIの違いと連携方法

KGIは最終的に達成すべきゴールを示す指標であるのに対し、KPIはそのゴールに至るまでのプロセスを評価・管理するための指標です。
KGIが「売上○億円」など最終到達地点を示すのに対し、KPIは「顧客接点数」「商談化率」など途中経過を計測することで、いち早く課題を洗い出せます。KPIを達成すれば、KGIが達成されるという関係性です。

KSFとは

KSFは、目標達成のために特に重要な成功要因を示す概念です。
KGIやKPIを設定する前に、自社のビジネスモデルや市場の状況を踏まえて「成功するために押さえるべき要素」を整理しておくと、指標設計のズレを防げます。
KSFは、立場によって見方が捉え方が違うことも多いため、認識を合わせておくことがとても重要だと考えます。

経営層と現場のギャップを埋めるためにも、KSFは重要
マーケティング部門や担当者の課題として、もちろん、BtoBマーケターの需要は高いでも紹介したとおり、人材不足・教育研修環境の不足などが挙げられていますが、複数の現場で、毎回実感しています。とかく、マーケティング部門は、未経験者や経験が浅い方が集められがち、もしくは、流動性が高い部門になりがちなのです。
経営層は「人数さえ揃えばなんとかなる」と考える傾向があるため、なかなか現場との認識ギャップが埋まりません。
この溝を埋めるには、内部要因としてのKSFが「専門スキルを持った人材の確保と育成」にあることを両者が共有し、管理していくことが重要です。

KSFを導き出すための分析方法

  • 3C分析・・・自社の強み・弱みと外部要因を整理
  • 5F分析・・・競争要因を理解し市場でのKSFを抽出
  • SWOT分析、PEST分析・・・マクロ・ミクロ環境の把握による精度向上

OKRとの関連性

OKR(Objectives and Key Results)は目標(Objective)とそれを測定する主要な成果(Key Results)を組み合わせたフレームワークです。KGIやKPIが数値目標に重点を置くのに対し、OKRは挑戦的なゴール設定と定性的な評価も重視します。しかし、どちらも目標と指標を一貫して管理する手法という点では共通しています。

KPI設計の目的

業務の進捗を可視化して課題を明確にする

KPIを設定することで、日々の業務がどれだけ目標に近づいているのかを可視化できます。問題点や課題を早期に見つけ出し、迅速に対策を打てるようになるのが大きなメリットです。

評価基準を統一化して公平な評価を実現

KPIを全社的に運用すれば、客観的・数値的な基準に基づいて評価が行われます。個人の印象や感覚に左右されにくく、公平性を保ちやすいのも特徴です。

組織・個人のモチベーションを向上させ成長を促進

目標に対して、各自がどれだけ貢献できているのかが明確になり、達成感を得やすくなります。モチベーションを維持・向上しながら、組織全体の成長を促進する効果が期待できます。

効果的なKPI設計の手順

KPIを正しく設計することで、組織の行動を目標達成に向けて最適化できます。ここでは、KPI設計の基本的な流れと、具体的な設定手順・ポイントを紹介します。

KPI設計の基本的な流れ

ビジョンと戦略的目標の確立

まずは企業ビジョンや経営戦略を明確化し、最終的に到達すべきゴールを定めましょう。これらがブレると、どれだけKPIを設定しても効果的に機能しません。

ステークホルダーの特定と影響分析

社内外のステークホルダー(顧客、従業員、取引先など)が何を求めているのかを把握し、組織への影響度を分析します。これにより、より的確な目標設定が可能になります。

関連記事:KPIは営業と共有!セールスとマーケ連携を成功させる4つのポイント

データ分析に基づくKPIの選定

組織や市場の現状をデータで可視化し、どの指標が業績に影響を与えているかを検証します。感覚だけで設定しないように注意が必要です。

目標値と測定方法の設定

KPIを達成するための具体的な目標値を設定し、それをどのように測定するか(ツールや計測期間など)を明確化します。


KPI設計の具体的な手順

KGIを設定する

まず最終目標であるKGIを明確化。売上、利益、顧客満足度など、組織のビジョンに沿った指標を定義します。

KSFを設定する

KGIに到達するために不可欠な成功要因をリストアップします。自社の強みや市場のトレンドなどを考慮し、成功要因を具体化しましょう。

KPIを決定する

KSFをブレイクダウンし、「どのようなプロセス指標なら実際に管理しやすいか」を検討します。定量化しやすいものを中心に選定するのがコツです。

関連記事:BtoBマーケティングにおけるKPIの目安の数字

KPIツリーを作成する

KPIツリーは、KGIを頂点として、それを達成するための要素を階層的にブレイクダウンして可視化する手法です。組織全体でゴールを共有しやすくなるだけでなく、それぞれの部署・担当者が何をすべきかを明確に把握できる点が特徴です。

関連記事:KPIツリー設計ガイド

KPI設計のポイント

KPI設計の5つの重要ポイント

1.定量的なKPIを設定する

数値化できる指標を選ぶことで、進捗状況を客観的に判断できます。主観的な指標は、評価が曖昧になりがちです。

2.KPIの数は絞り込む

あれもこれもと指標を増やしすぎると、どれに注力すべきか分からなくなります。3〜5個程度に絞るのが望ましいとされます。

3.施策で改善可能なKPIにする

自分たちでコントロール不能な指標をKPIに設定すると、改善に活かしづらくなります。自社の努力で数値を向上できる指標を選ぶのがポイントです。

目標設定のフレームワーク「Smartの法則」に沿って設定しましょう。
Specific(具体的で明確な目標): 「売上を上げる」ではなく「月間新規顧客獲得数20件」
Measurable(測定可能である): 数字で測定可能にする
Achievable(達成可能な目標である): 無理のない範囲で設定
Relevant(目的に関連している): KGIに直結しているか確認
Time-bound(期限がある): 「〇月までに」と期限を明示

4.自社や業種に適したKPI設計

他社の成功事例をそのまま流用してもうまくいくとは限りません。自社のビジネスモデルや組織体制を考慮して指標を選定しましょう。

5.KPIツリーで可視化する 

KPIツリーを作成することで、KGIと各KPIを階層的に紐づけることで、全体像を俯瞰できます。チームごと、個人ごとの目標がKGIとどのように結びついているかをわかりやすく図解しましょう。

関連記事:KPIツリー設計ガイド

KPIの運用のポイント

実際にKPIを導入してみても、うまく機能せずに形骸化してしまうケースは少なくありません。ここでは、その主な原因と対策についてまとめます。

KPI設計を成功させるためのベストプラクティス

定期的な振り返りと改善

KPIは一度設定して終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。市場や組織の変化に合わせてアップデートしましょう。

関連記事:KPIは営業と共有!セールスとマーケ連携を成功させる4つのポイント

社内でKPIツリーを共有し活用する方法

KPIツリーを可視化し、各チームや個人の目標がKGIとどう結びついているかを全員で共有します。また、施策の効果測定の際にも忘れずに利用しましょう。

関連記事:デジタルマーケティングのROI|計算方法や目安を理解する


KPIの失敗事例

効果的なKPIが分かりづらい

何を指標にすべきかを見極めるには、綿密なデータ分析が必須です。曖昧に決めると効果が出にくくなります。

直感でKPIを設計してしまう

市場データや顧客動向を踏まえず、経験則だけで決定すると的外れになりがちです。

KPIが複雑すぎる

指標が多すぎたり、測定方法が複雑化すると、現場での運用が負担になり、継続的な測定が困難になります。

KPIの期間設定が不適切

短期的なKPIばかり意識すると中長期の目標を見失いやすく、逆に長期スパンすぎるとモチベーションが下がることもあります。

現場のニーズと合致していない

経営層が設定したKPIが、実際の業務や顧客接点で求められる指標と乖離していると、現場での運用が滞ります。

関連記事:マーケ・営業部門にKPIを浸透させるための注意事項

まとめ:KPI設計の効果

適切にKPIを設計すれば、組織の連携が強くなる、現場と経営層の意識のズレも無くなくなるなど、様々なメリットがあります。

一度設計したKPIは、施策の評価で利用し、常に最適化していくことで効果を発揮しますので、ぜひ、今回紹介したステップやポイントを参考に、自社に合ったKPI設計に取り組んでみてください。

BtoBマーケティングスターターガイドを作成しました。こちらも参考になれば幸いです。