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デジタルマーケティング現場で未経験者を受け入れる準備

デジタルマーケティング現場で未経験者を受け入れる準備 
 

私の職場では、今期から、デジタルマーケティングの運用現場に未経験者が複数名アサインされました。社会人経験がかなりある方ばかりだったのと、入社間もない私に比べ、数十年在籍されていた方々だったので、あまり未経験ということを意識せずに対応してきました。
その結果、これまで当たり前に使っていた言葉が、伝わっていなかったことを半年経って判明。その経験を振り返り、未経験者とより早く体制構築するには、どんな準備が必要なのか?をまとめてみました。

現在所属している企業のアウトライン

業種 WEB制作会社(ハウスエージェンシー)
売り上げ構成 9割がWEB制作、1割がデジタルマーケティング含むその他
従業員数 ここ数年は、200名前後で推移(離職者多め)
部署区分 デジタルマーケティングコンサルティング部門
メンバー構成(全員兼任) マーケティング専門スタッフ3名、制作支援スタッフ1名(未経験者)
営業メンバー2名(1名は未経験者)
備考 2023年度まで売上目標があったが、2024年からは営業部門と連携し、案件獲得までとなる

未経験者を受け入れる準備事項

運用ツールの準備

未経験者がスムーズに作業を開始できるよう、主要なマーケティングツールは事前に準備し、基本操作や使用目的を周知しておくことが重要です。新たに参加するメンバーが基本的な機能を使える状態を整えることで、業務のスムーズな引き継ぎが可能になります。

学習資料の作成・収集

未経験者が座学で理解を深められるよう、マーケティング基礎知識や運用に必要な用語をまとめた資料を準備します。具体的には以下の内容を含めるとよいでしょう。

用語集の整備

マーケティングやデジタル領域に関連する用語集を作成します。業界特有の専門用語や略語(特にカタカナや3文字の省略語)は、曖昧さが業務理解に影響するため、注意深く解説します。

マーケティングの基礎知識

マーケティングの基本概念や、コロナ後の変化により求められる新たなマーケティング手法について説明します。特にインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い、デジタル上での営業とマーケティングの役割の違いなど、基礎的な理解を深める内容をカバーします。

ツールの簡易マニュアル

ツールの操作は、UIの変化などに対応するため機能別に簡単な操作マニュアルを用意し、特によく迷う操作をまとめておきます。これにより、未経験者が操作に戸惑い業務が滞るのを防ぐことができます。

マーケティング環境を共有するための図資資料と体制図

マーケティングから営業に至るまでのフローを可視化した図解や体制図を準備します。未経験者が全体の流れや各プロセスでのボトルネックを理解する助けとなり、業務の本質的な理解を深めることが期待されます。

失敗談
体制図は、端的に図解してしまうと、かえって伝わらないことになります。完成したものではなく、関係者と作り上げるつもりで、指差し確認的に詳細をなぞっていきながら完成させることが必要だったように思います。

ハンズオン研修の時間を確保する

未経験者が実際の作業を通して学べるよう、ハンズオンでの研修時間を確保します。「とりあえず使ってみる」という指導に頼らず、具体的な操作や疑問に応じて丁寧なレクチャーを行うことで、効率的な業務習得が進みます。

KGI/KPIの設定を営業責任者と共有する

営業部門と目標(KGI)を共有し、責任者も含めて具体的なKPI設定を行います。これにより、マーケティングの成果が営業目標と連携し、全社的な目標達成に向けて進むことが可能です。

失敗談
体制図は、端的に図解してしまうと、かえって伝わらないことになります。完成したものではなく、関係者と作り上げるつもりで、指差し確認的に詳細をなぞっていきながら完成させることが必要だったように思います。

未経験者の稼働計画を立て、アウトプット数を見積もる

未経験者は慣れるまでに通常の倍以上の時間がかかることが多いため、その稼働時間や想定されるアウトプット量を見積もります。初期の成長曲線を考慮し、実務経験に応じた計画を立てることで、現場でのサポート体制も整えやすくなります。

 

未経験者を受け入れる手順

これまでのキャリア・経験を確認する

未経験者であっても、バックオフィスや経理部門での経験がデジタルマーケティング業務に活かせる場合があります。例えば、Excelでのデータ集計や表作成のスキルがあれば、マーケティングでもデータ管理や簡易なレポート作成に役立ちます。
一方で、バックオフィス業務の経験者には受け身の業務スタイルが染みついている場合が多く、デジタルマーケティングで必要な「主体的な提案」や「目標意識を持った行動」には慣れていないことも考えられます。そのため、業務に必要な積極的な姿勢や、結果を意識して業務を進める習慣を促すレクチャーも行い、徐々に主体性を引き出す支援が重要です。

業務内容を段階的に分け、座学とハンズオンでのレクチャーを並行して実施する

初期の座学では、インバウンドマーケティングの概念、HubSpotの基本操作、CRM・マーケティング・コンテンツツールの概要を学習します。例えば、マーケティングファネルやリードスコアリングの基本などを理解し、HubSpotの各機能の関係性がイメージできるようにします。
ハンズオンでは、最初にリードのプロパティ設定や、リードのフェーズ管理の操作を体験します。実務の流れに沿って、メールテンプレートの作成やワークフロー設定など、実際にインバウンド施策に関連する操作を段階的に実施していきます。

進捗を確認しながら自走できる業務を徐々に任せる

未経験者の理解度とスキルが一定レベルに達したら、まずは簡単な業務を任せます。例えば、リード情報の更新や簡単なワークフローの設定、SNSでのコンテンツ配信スケジュール管理など、インバウンド施策の中で定型的なタスクからスタートします。
定期的な進捗確認やフィードバックを行いながら、適応度に応じて、レポート作成やEメールキャンペーンの実行など、さらに責任ある業務にシフトします。少しずつ業務範囲を広げ、独り立ちできる部分を増やしていきます。

フォローアップとサポート体制を整える

未経験者が質問しやすい環境を整えるため、専任のメンターや定期的なフォローアップミーティングを設けます。特に、HubSpotのダッシュボードでの分析レポート作成や、ワークフローでの自動化設定などでつまずきやすいため、実践的なサポートが必要です。
また、トレーニング資料のアップデートや、HubSpotのコミュニティやサポートページへのアクセス方法も紹介し、必要に応じて自主学習が進められるようサポート体制を充実させます。

まとめ

未経験者をデジタルマーケティングの現場に受け入れるにあたり、ツールの準備や資料の整備といった基本的なサポートから、段階的な業務分担、フォローアップ体制まで整えておくことが、スムーズな立ち上がりに大きく影響することを実感しました。

特に、バックオフィスや経理部門出身のメンバーは、受け身の姿勢から主体的な業務遂行にシフトするためのレクチャーが欠かせません。日々の進捗確認や定期的なフィードバックの中で、スキルと自信を少しずつ積み上げていくことで、最終的には自立して活躍できる人材へと成長していきます。

未経験者を迎え入れる準備や手順は多岐にわたりますが、一つひとつ丁寧に整備し、段階的なアプローチで対応することで、彼らがマーケティングチームの一員として貢献できる基盤を築くことができます。今後も体制を見直しながら、よりスムーズな受け入れ方法を模索していきたいと思います。