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マーケティングと営業が共通認識を持つべき用語と概念

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マーケティングと営業が「同じ言葉で話せていない」と感じる場面は、意外と多いかもしれません。ファネルの定義、リードの扱い方、ナーチャリングの役割。それぞれが別々の解釈で動いていると、KPIは曖昧になり、現場の疲弊につながります。この記事では、営業と共有しておきたい主要な用語と概念を整理してみました。

こんな方にお勧め。

  • マーケが獲得したリードを営業が「使えない」と言って、どう改善すればいいか手が止まっている
  • MQLやSQLという言葉を使っているが、営業と定義がずれていて会話がかみ合わない
  • ナーチャリングを始めたいが、営業に説明してもピンときてもらえない
  • インサイドセールスを立ち上げたが、架電してもアポが取れず担当者が疲弊している

共通認識をもっておきたい重要な用語と概念

 まず、最低限このあたりは揃えておきたい、という用語を整理してみます。難しいことではなく、どの段階のリードを指しているのか、どんな状態で渡すのか、という共通の地図を持つイメージです。 

マーケティングファネルとMQL・SQL

 マーケティングファネルとは、見込み客が認知から購買に至るまでの流れを「漏斗(ファネル)」の形で可視化したものです。上部に多くのリードが入り、段階を経て絞られていくイメージですね。

このファネルを定義すると、「どの段階のリードを誰が管理するか」が明確になります。ここで重要になるのがMQL・SQLという概念です。

MQL(Marketing Qualified Lead)は、マーケティングが「商談可能性あり」と判断したリード。資料ダウンロードや特定ページの閲覧など、一定の行動基準を満たした状態を指します。SQL(Sales Qualified Lead)は、営業が「アプローチすべき」と判断し、商談に進める段階のリードです。

この定義を営業と握っておくことで、「マーケが渡したリードは温度感が低い」という認識のズレを防ぎやすくなります。どの行動・スコアでMQLと見なすか、SQLに上げる基準は何か。ここを一緒に決めるプロセス自体が、連携の出発点かもしれません。

バイヤージャーニーとペルソナ

ペルソナは、ターゲット顧客を具体的な人物像として描いたもの。バイヤージャーニーは、そのペルソナが認知・比較検討・購買判断に至るまでの行動・思考の流れです。

この2つがあると、「どのフェーズのリードに、どんな情報を届けるか」が決めやすくなります。比較検討フェーズにいるリードには競合比較の資料、課題認識フェーズには課題整理のコンテンツ、というように。営業からすると「なぜこのリードにこの資料を送るのか」が説明しやすくなる、という実感があります。

リードナーチャリングと施策の違い

リードジェネレーション(リード獲得)は営業にも伝わりやすい言葉ですが、ナーチャリングは「何をするの?」と聞かれることが多いかもしれません。

ナーチャリングとは、獲得したリードの購買意欲を時間をかけて育てるプロセス全体を指します。メール配信・コンテンツ提供・ウェビナー招待などがその施策に当たります。「今すぐ買わない人を捨てずに関係を続ける活動」と説明すると、営業にも伝わりやすい印象です。

ペルソナもバイヤージャーニーも営業部門と連携して作成しましょう
 BtoBファネルKPI:お問い合わせ数と資料請求数、どちらを追うべきか 
 ペルソナとカスタマージャーニーの作り方と活用法 

共通認識がないと、どんな問題が起きるのか

 用語の定義がないまま進めると、KPIが曖昧になります。そしてKPIが曖昧になると、何を改善すればいいのかわからなくなり、現場が消耗していきます。具体的にどういうことが起きるのか、整理してみました。

ファネルの定義がないと、KPIが「数だけ」になる

マーケのKPIが「お問い合わせ数」や「獲得リード数」に設定されていることは多いと思います。これ自体は悪くないのですが、ファネルを定義すると見えてくるものがあります。

リードを獲得してから商談に至るまでには、一定のリードタイムがあります。その間にMQLへの転換率、SQLへの転換率、商談化率などが存在しています。この中間指標を持っていないと、「リード数は増えているのに商談が増えない」という状況になっても、どこに問題があるかの手がかりが掴みにくくなります。

ファネルの定義は、KPI設計の前提です。この順番が逆になっていると、数字を追いながら改善の方向が見えない、という状態になりがちかもしれません。

バイヤージャーニーがないと、コミュニケーションが属人的になる

 バイヤージャーニーがない状態だと、「どのリードに何を伝えるか」がその日の判断に委ねられます。担当者のセンスや経験に頼ることになり、再現性が作りにくくなります。

比較検討フェーズにいるリードには競合との違いを整理した資料、課題認識フェーズにいるリードには現状の課題を整理するコンテンツ。こうした「フェーズ×コミュニケーション」の設計があると、誰でも一定の基準で動けるようになります。インサイドセールスを立ち上げる際にも、スクリプトや架電基準を設計しやすくなります。

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 KPIが機能しない原因と、現場で感じた対策のヒント 
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ペルソナから定義しなおした、実際の話

ここからは、自分が関わった現場の話です。うまくいかなかった経験のほうが多いので、その点を中心に書いておきます。

現場で起きたこと

資料ダウンロード数が増えてきたタイミングで、インサイドセールスの機能を取り入れることにしました。獲得リードに対してアプローチし、アポにつなげようという試みです。

ただ、このリードは資料をダウンロードしたばかりの段階。アポを取るには少し早い状態でした。担当者がアポ獲得を目標に架電したところ、ほぼ取れない状態が続き、モチベーションが低下。次第に「架電は無駄」という空気が生まれ、インサイドセールスの仕組み自体がなくなりました。

そこから学んだこと

1年ほど経って振り返ると、原因はいくつかありました。まず、ファネルのどの位置のリードなのかを定義していなかったこと。MQLの基準がなく、全リードを同じ温度で扱っていたことです。

もうひとつは、ペルソナが曖昧だったため、架電時のトークが「お困りごとはありますか?」というオープンクエスチョンになっていたこと。相手に多くを語らせる形になり、負担をかけていたと思います。

その後、ペルソナの課題を具体化した上でコミュニケーションを組み直し、MQL・SQLの定義をもとにアポのタイミングを設計しました。マーケリードが営業に無視されない循環を作るには、この定義の握り合わせが先に必要だと実感しています。 

参考記事
 リードが商談化しない理由と、バイヤーイネーブルメントの考え方 

まずは、用語と概念の共有から

マーケティングと営業の連携がうまくいかない、という声はよく聞きます。いろいろな背景はありますが

MQL・SQL・ファネル・バイヤージャーニー。これらは難しい概念ではなく、「どの段階の誰に何をするか」を決めるための共通の地図です。

定義を揃えることで変わること

ファネルとMQL・SQLの定義が営業と揃うと、「このリードはまだ早い」「このリードはアプローチしてほしい」という判断が、感覚ではなく基準でできるようになります。マーケが渡したリードを営業が活用しやすくなり、結果として商談数や転換率に影響が出やすくなります。

バイヤージャーニーがあると、「今この人に何を伝えるか」がフェーズで決まります。担当者が変わっても、一定の基準でコミュニケーションできる状態になります。

まず一つだけ揃えるとしたら

全部を一気に整備するのはしんどいので、まず「MQLの定義を営業と握る」ことから始めるのが現実的かもしれません。どんな行動をとったリードを「温まっている」と見なすか。この一点を決めるだけで、マーケと営業の会話の質が変わってくる感覚があります。

用語を揃えることは、連携の設計図を作ることと同じです。すぐに成果が出るものではありませんが、ファネルの可視化とKPIの整備を進めていく上での、最初の一歩になるかもしれません。

 

この記事を書いた人[ABOUT

IT・デジタルマーケティング領域で20年以上の実務経験。現在は、デジタルマーケティングの組織浸透や業務効率化を担当しています。
「予算がない」「人が足りない」「MAツールを入れたけれど活用しきれない」「営業の協力が得られない」といった、理想通りにいかない実務の壁を数多く経験。今日も奮闘中です。